健康ファミリー 2002年5月号掲載

●なぜ減らないのか医療ミス 

 この4月から、診療報酬の改定に伴って大幅な医療改革の一歩が踏み出されました。患者と医療側と国側の三方一両損方式といわれますが、損得計算だけでは済まされない医療問題が、根深く残りそうです。

 昨年(01年)3月に起きた東京女子医大の心臓手術ミスで、群馬県高崎市の平柳明香さん(当時12歳)が死亡した事件は、医大内の事故再発防止機関(安全管理委員会)に報告しないばかりか、カルテの改ざんまでして事故隠しをした悪質なものです。両親は明香さんの一周忌を前に区切りをつけるために病院側と示談が成立したが、担当医師への告訴は取り下げていません。

 このたびの東京女子医大や各大学病院など、高度の医療水準をもつ「特定機能病院」は、今回の医療費の改定でも各種の特典が与えられ、この1年後には、様々な名目で治療費の上乗せができ、診療費の別料金を取ってもいいことになるのです。

 話は横道にそれましたが、横浜市立港湾病院では、2000年2月に首のリンパ手術をうけた男性が、術後間もなく呼吸停止に陥って今も意識不明の重態です。手術を担当したのは歯科口腔外科の医師(51)です。この医師が今度は、あごの矯正手術をした18歳の高校生も医療ミスで、植物状態になっているという事件です。同じような医療事故を隔年で起こしていることは、医師としての適格性に欠けることと、市立港湾病院(松本昭彦院長)のズサンな管理体制が指摘されるのです。

 一方、東大病院での医療ミスは、50代の男性患者の肺に誤って栄養剤を投与したため、肺炎によって死亡したものです。昨年12月末、この男性は食べ物がうまく飲み込めなくなったため、チューブから栄養剤を胃に入れることになって、医師が挿管の作業をしたのです。

 挿管は医師でなければやってはいけない行為ですが、8年目の医師と研修医の2人が行った結果、ミスが生じたのです。気管内挿管に対しては救急車などで患者を搬送する時心肺停止状態の人を助ける手段の1つなのですが、これまでは、救急救命士がやると医師法違反に問われたのです。ところが、秋田県内の救急救命士らは、心肺停止状態の人を救うため、救命士が気管内挿管をして助けた事例が多く、厚生労働省も医師の指導がうけられるときに限定して認める動きです。

 つまり、医師でなければできない医療行為であっても、訓練を積めば人の命が救えること、医師であっても人の命を奪ってしまうことの違いは大きく、医療の名のもとに、ミスで殺されたのではやりきれません。

●人工透析患者は優遇される 

 人工透析による医療事故は2000年度内に少なくとも2万1457件も起き、うち「生命に危険」と感じた事故は372件もあった、と3月8日、厚労省研究班(班長・平沢由平・前日本透析医会会長)のアンケート調査で判明しました。(毎日新聞3月9日)

 それによると、調査対象は透析医療施設3073カ所のうち回答を寄せた1586カ所(約52%)の透析事故を分析した内容です。その結果実際には1年間に850件の重大な事故が起きたと推計。他の事故を含めると約4万8000人が何らかの事故に遭った計算になり、これは全国の透析患者約20万人のほぼ4人に1人の計算になるのです。

 腎機能不全によって人工透析をうけることになるのですが、そこに至る疾患の多くは糖尿病の合併症としての慢性腎不全によるものです。国民病といわれる糖尿病患者は約700万人、その予備軍を含めると1300万にもなり、食生活を含めた生活習慣の改善が叫ばれているのです。これらの人々が、「糖尿病では死なない」と安易な生活を送った結果、合併症の苦しみの中で死んでゆくわけですから悲惨です。

 欧米人に比べて、日本人の体質そのものが糖尿病になりやすいといわれます。食べ過ぎ、飲み過ぎ、太り過ぎ、運動不足と重なってインスリンが働きにくい体質が加わると糖尿病になります。

 糖尿病の人の初期は太り過ぎになります。それでも好物を食べ、アルコールやジュースを飲みつづけ、やがて極端に痩せてゆきます。体に傷をつけると治りにくく、手足の末梢血管に血液が流れにくくなって懐死を起こし、手足の指や下肢、太腿を切断する羽目になります。

 糖尿病になる人の食生活は極端な場合が多いようです。知り合いの女性ですが、甘いものや肉類を好み、果物は1箱単位で買って食べるそうです。メロンの時季1人で1日1個から2個は平らげるそうで、人工透析をしている時でも、パーティーの席で豚肉にチーズをからめて揚げたトンカツチーズ?をおいしそうに食べていたのには驚かされました。

 いっぽう、透析専門病院で出す患者食は、カリウム含有には気を配るものの、高カロリー高たん白食が多いようです。肉などをはじめフライものが付き、カロリー制限をしているとはいうものの、自然食派から見ると、せっかく血液を機器で精製しながら、なぜ血液を汚すものを食べつづけるのか、という疑問が生じます。

 診療報酬改定にあたっては、医療費の削減が前提です。ただし、15歳未満や人工透析患者は除かれていますから、専門病院としては大切なお客様として、食事をはじめ丁重に扱われることでしょう。

 高血圧症、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病患者を抱える病院では治療計画を立てて指導すると、その医療機関に対して、月1回に限り1万500円から1万6500円が医療保険から支払う仕組みだとか。これらは玄米雑穀自然食で、簡単に解消できるのだが、やってみませんか。


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